『みんなうんち』の五味太郎さんのエッセイです。
表紙には、「大人」と「問題」のあいだに「は」「が」「の」とあります。
「大人は問題」
「大人が問題」
「大人の問題」
そう、この世の中の問題は、大人側の問題だということです。
おかあさん、肩の力が抜けるかもよ。
子育てを始めて十数年たちました。
今や3児の母となりましたが、子どもを取り巻く環境はあまり変わっていないと思います。
そんな中で子育てをしている私としては、何をどうしたらいいのか、考えてはみるけれど明確な答えは出ないし、それを教えてくれる人もいません。
この本に出会ったのは長女が3歳くらいのとき。
仕事に復帰してからしばらく経っていたものの、残業できない、しかし仕事は増える一方。
仕事のペースがつかみきれず、自我の芽生え始めた娘に当たり散らす毎日。
八方ふさがりだった時にこの本を読んで肩の力が抜けたというか、眉間のしわがなくなったような気がします。
子どもは馬鹿じゃないんだよね
子どもは大人が思っているほど馬鹿でもないし、無知でもないし、おろかでもありません。
大人を鋭い目でよ~く観察しています。
自分が子どもの頃はそれを知っていたはずなのに、いつから忘れてしまうのでしょう。
子どもはこういうものだと決めつけ、あれこれ自分の尺度で物事を押し付ける大人たち。
今の大人が、その尺度を捨てることができたら、大人も子どもも楽しく暮らせる世の中になるんじゃないか、と思います。
もちろん、この本をまねして子育てしようと思っているわけではありませんが(たぶん、まねしようとすれば、それはここに書いてある”いけない大人”になりそうです)、とても新鮮な考え方が参考になりました。
子どもだから、と決めつけずに
私にとって目から鱗だったのは、憲法に定められている「義務教育」のこと。
これを今まで「子どもは教育を受ける義務がある」と思っていましたが、実は親が「子女に普通教育を受けさせる義務」の規定だったのですよね。
子どもにあるのは「教育を受ける権利」なのです。法学部を出ておきながら、こんな基本的なことを忘れていました。
もしも子どもが学校に行きたくないと言ったら、普通の親はきっと「義務教育だから学校には行かなくてはいけない」と言うのでは。
まあ、義務じゃないから行かなくていいよ、とは言わないまでも、このことが頭にあったら、接し方が変わるんじゃないでしょうか。
五味さんのお子さんは不登校になったそうなのですが、無理して学校へは行かせなかったのだとか。
ただし、今の日本で人と違った生き方をするならそれはとてもエネルギーのいることだと教えたとのこと。
大人だから、子どもだからと物事を決めつけずに、こんな風に相手を一人の人間として敬意を持って接することができれば、それを見た子どもは自然に自分や他人の大切さというものを理解していけるのではないかと思いました。
すべての子どもを持つ親に読んでみてもらいたい本です。