いつの世も求められる男性像は変わらないんだ〜〜ということを実感しました。
右近の少将、かっこ良すぎる。まじほれる。
どんな顔してるんだろうとビジュアルを想像して読むと楽しいです。
評価:
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絵に描いたような美しいシンデレラストーリー
シンデレラの話って、あんまり好きじゃなかったんですよ。
そんなうまい話あるかいって思うのと同時に、なんだかシンデレラのキャラクターが好きになれなかったし。
帰る時にガラスの靴が脱げたからってそれを拾わずにおいていくなんて、あざとい女だなあと思いましてね。
王子様のキャラクターもあまりよく分からないし、上流階級に憧れる野心満々の女がのし上がっていくストーリーだと思います。
しかも生まれも実は高貴な人。
生みの母は後続の血を引く人だから、本当ならばもっと大事にされないといけないお姫様なのに、意地悪な継母と姉妹たちに疎んじられ、実の父にも誤解されて、お針子みたいにこき使われているかわいそうな境遇。
そこに現れるのが右近の少将。
最初はこの時代の人らしく、「いいじゃん、恋人が何人いたって。俺もてるんだし。結婚するまでもっと遊びたいよ」と思っていたのですが、実際におちくぼ姫に会ってみると、その可愛さに撃沈し、「もうこの人しかいない」と心に決めるわけですよ。
平安時代ですからね、別に奥さんが何人いたって悪くはないし、しかもこの人は出世街道まっしぐらな人だから、正妻でなくてもいい、恋人の一人にして欲しいと思う女性はきっとたくさんいるはず。
それでもおちくぼ姫一人と添い遂げると心に決めて、右大臣家からの縁談まで断ってしまうというね、なんという男らしい人なのか。
急ぎの縫い物を言いつけられたおちくぼ姫を夜中に手伝うところとか、物置に閉じ込められたおちくぼ姫を救うところとか、とにかく少将の見所が一杯の物語。
作者不詳の物語ですが、少将の人物像には、きっと「こういう人が実在して欲しい」という願いが込められているんだろうなと思います。
やっぱり、千年も前から求められている男性像は変わってないのよ。そう思う。
今でもこんなに一途で、イケメンで、気だても良くて、しかも出世街道まっしぐらなんて男は早々いないもんねー。
ラストまで飽きさせない展開
物語はすんなりとは進まず、二人の恋路には色々な障害が現れるのですが、そのおかげでさらに思いを強くする二人。
少将はおちくぼ姫をいじめた継母(北の方)に復しゅうしようとしますが、優しいおちくぼ姫は「もうやめましょうよ」って止めるわけ。
これもいいよね。優しくて可愛い。
で、復しゅうを強行するのか、途中でやめるのか、どんなオチがくるんだろうと思いましたが、納得のラストでした。
すごく、いい気分のまま終われた感じです。
古典なんてつまらないと思っている人にこそ、読んで欲しい作品です。
千年も前にこんな面白いお話が作られていたなんてね、日本てやっぱりすごいなと思いました。
実はこの後に話が続いていたらしい
解説を読みますと、おちくぼ姫は巻四まであるのだけれど、田辺聖子版は巻三の最初当たりまでしか書いていないんですって。
というのも、その後は急激に話がつまらなくなるんだそうです。
それはそれでどんな話なのか知りたいですけどね。
文春版も読んでみます
私が今回読んだのは角川文庫ですが、文春文庫からも同じ田辺聖子さん作で出てるんですよね。
ちょっと立ち読みしたら、角川版よりも話が細かく描き込まれていました。こちらも是非読んでみたいと思っています。
読んだら、角川版との比較もしてみたいです。