古典は面白くない、だってわからないからと思っている人にぜひ読んで欲しいのが、角川文庫のビギナーズクラシックシリーズです。
単に現代語訳が載っているだけでなく、その部分の解説が載っているので、歴史的な背景がわかり、なるほど〜と腑に落ちる。
現代語訳だけ読んでも意味がわからないから、古典を嫌いになりませんでしたか?私はそうでした。
若い頃からこのシリーズを知っていたら…と思いましたが、今からでも遅くはありません。全シリーズ、読みたいと思っています。
累計400万部突破の人気シリーズ
古典はたくさんあるので、どれから読んだらいいんだろうと思ったら、角川のサイトに掲載されているこちらの図が参考になります。
(引用:ビギナーズ古典MAP)
現代語訳がわかりやすい
訳文は誰がどう訳すかによって読みやすさが変わりますが、このシリーズは総じて役が読みやすいです。
すんなり入ってきます。読みやすいからストレスなく読み進められます。
解説とコラムが何より面白い
古典がわからないという人にこそ、この部分を楽しんで欲しいと思います。
章と章のあいだに挟まれている、解説やコラムです。
このシリーズで私が初めて読んだのは「蜻蛉日記」でした。
「蜻蛉日記」は、藤原兼家の妻の一人で藤原道綱の母という人が作者です。
兼家に求婚されてから実質的な離婚となるまでのおよそ20年についての物語ですが、日記というよりも小説に近い、読み物として非常に秀逸な作品です。
ですが、普通に現代語訳を読んでいたら、こんなに面白いと思わなかったと思います。
コラムや解説を読んで、この和歌にはこんな意味があるのかとか、正妻・時姫との関係とか、夫である兼家の波瀾万丈な人生を垣間見ることができました。
兼家は飛ぶ鳥落とす勢いの出世頭ですから、あちこちに女の人を作るのですが、その一人が道綱母です。
才色兼備なのでプライドが高く素直になれないのですが、兼家のことは大好き。だからこそ自分だけをみてくれない夫に腹を立てて、山寺にこもってしまったりするのですが、兼家がどんな人かを知らずに読むとこの面白さも半減してしまったかもしれません。
私は兼家のことはあまり知らずに「蜻蛉日記」を読み始めたのですが、歴史的な背景についてもコラムで書かれていたので、夫婦関係がよくわかり、この日記の面白さが増した、というわけです。
次に読んだ「竹取物語」も、こんなに深い話だったのか!と驚きました。
「作者不詳のファンタジー」くらいに思っていたので、時の権力者である藤原氏に対するアンチテーゼだとか、結婚制度に対する批判だとか、そんな意味が込められているとは考えたこともありませんでした。
また、貴族や帝の求婚を通してかぐや姫が女性として成長していく物語としても読めるという解釈もしたことなかったので、なるほどそう言われてみればそうだなと。
月を見て泣いているのは、単におじいさん、おばあさんと別れるのが寂しいからだと思っていましたが、そうじゃなかったのか…
なんてことが、解説を読んで初めてわかりました。
これからビギナーズクラシックを読もうと思っている人は、この「竹取物語」がいいかもしれないです。
原文を読む楽しみもある
もちろん、原文も載っています。
現代語訳と照らし合わせながら読むと面白いです。
昔は古典の授業なんて全く面白くなかったのですが、現代語訳だけでなく、コラムや解説を読んでから原文に触れると、その奥にいる人を感じます。
「蜻蛉日記」を読んだ時は、千年も前の人が書いた日記を電子書籍で読んでいるってすごく不思議だなともいましたし、千年経っても人間てあんまり変わっていないなと思うこともたくさんあって、さらにたくさんの古典を読んでみたくなりました。
歴史を理解する上でも古典は必要だと思うので、歴史好きな方も楽しめると思います。
おすすめビギナーズクラシック
まだ読破できていないので一部のご紹介にはなりますが、どれを読もうかなと思っている方の参考になれば。
「竹取物語」
話のあらすじを知っているので読みやすいのと、新たな気づきがたくさんあって面白いです。
おじいさんが竹を切ったら女の子が出てきて、驚くべきスピードで成長して、ある日月から迎えがきて帰ってしまう話ですが、もっと奥が深いんです。
竹取物語の最後って、どうなるか知ってますか?
かぐや姫が月に帰って終わり、だと思っていたのですが、こんな結末があったのかと初めて知りました。
「蜻蛉日記」
藤原兼家の妻、藤原道綱の母の日記です。当時の生活の様子がわかるだけでなく、女性関係の激しい夫に翻弄されるプライドの高い妻の苦悩がよく描かれています。
これを読んで改めて思ったことは、この時代の人って本当に歌(和歌)でやりとりするんだなってことです。
いい歌詠めないと出世もできないし、男女関係もうまくいかない感じ。今でいうと、メールやLINEをそれなりのスピードで返しつつ、相手を思いやる文章が作れるか、ってところでしょうか。
和歌の解説もとてもためになりました。
古典が苦手でも楽しめるビギナーズクラシック
古典の授業がこのくらい面白かったら、きっと古典をもっと好きになってたはず。
ですが、今からでも遅くはありません。
現代語訳だけでなく、解説とコラムがついていて物語の背景がよく理解できるので、どんどん読み進められます。
古典がより一層身近に感じるシリーズです。