表紙に惹かれて買ってしまった、というのは嘘ですが、有栖川有栖氏の火村&アリスコンビが読めると思って買いました。
アンソロジーは読んだことのない作家さんとも出会える場なので、いつも楽しみにしています。
しかし・・・有栖川有栖氏の作品は「ジャバウォッキー」。
これは、『英国庭園の謎』(感想はこちら)に収められている作品なので、すでに読んでいました・・・残念。
でも、他の作品はなかなか良かったですよ。
アリス殺人事件
有栖川有栖/宮部みゆき 河出書房新社 2016年06月07日
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◆収録作品
「ジャバウォッキー」有栖川有栖(「英国庭園の謎」に収録)
「白い騎士は歌う」宮部みゆき(「心とろかすような」に収録)
「DYING MESSAGE<Y>」篠田真由美(「センティメンタル・ブルー」に収録)
「言語と密室のコンポジション」柄刀一(「アリア系銀河鉄道」に収録)
「不在のお茶会」山口雅也(「ミステリーズ完全版」に収録)
「鏡迷宮」北原尚彦(「死美人辻馬車」に収録)
「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」と絡めた作品なので、言葉遊びというか、独特な謎かけが施された作品が揃っています。
宮部みゆきさんの「白い騎士は歌う」もすでに読んでいたのですが、何度読んでもいい作品です。元警察犬マサと蓮見探偵事務所の加代ちゃんのコンビが活躍する「マサの事件簿」から。白の騎士は、鏡の国のアリスに出てくるキャラクターですね。最後はちょっとほろっとします。
面白いと思ったのは、「DYING MESSAGE<Y>」。こちらは、「鏡の国のアリス」とエラリー・クイーンの「Yの悲劇」を絡めたような作品になっていて、2年前に亡くなった同級生が好きだった彼女の死の真相を暴くというもの。少し悲しい結末。
「言語と密室のコンポジション」は言葉遊びとトリック。なかなかない趣向で面白かったです。異世界モノが好きな人におすすめ。
「不在のお茶会」は、私にはちょっと難しすぎた・・・。
どの作品も、「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の要素が盛り込まれているので、原作を一度きちんと読んでからの方が、より楽しめるかも。