火村英生と有栖のコンビで推理をするシリーズですが、その中でさらに国名シリーズというものがあります。
今回の「英国庭園の謎」はその第4弾です。
第1弾から読んでいなくても大丈夫なので、安心してください。
何度も読み返している1冊です。
英国庭園の謎
有栖川有栖 講談社 2000年06月
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◆収録作品(全6編)
- 雨天決行
- 竜胆紅一の疑惑
- 三つの日付
- 完璧な遺書
- ジャバウォッキー
- 英国庭園の謎
雨天決行
「雨天決行よ」という、被害者が電話で答えたセリフ。これがミソになるのですが、「うてん」と言えば「雨天」だと思いますよね。
竜胆紅一の疑惑
自分の命が家族に狙われていると不安になり、調査を依頼してきた大作家。出版社経由で火村先生の噂を聞いて・・・ということなので、アリスはその仲立ちをした人、という位置付けで参加。作家の大先生はアリスのことを知っていたわけではないので、なんとなくかわいそうな・・・。
三つの日付
こちらはアリバイものです。犯罪が起きたであろう日にアリスが犯人と一緒に写真を撮っていた!?写真を撮った日にアリスはサインも書いているのですが、その日付は正しいのか、ということころがミソ。
完璧な遺書
犯人の視点から書かれたお話で、遺書の用紙も用意できたし、文面にも不審な点はない。よし、完璧だと思ったのに・・・なぜ火村先生は、この遺書が本物でないとわかったのでしょうか。
ジャバウォッキー
謎かけ問題のようなお話。ジャバウォッキーに翻弄されて、アリスが走り回る。推理をするのは火村先生ですが、体力使ったのはアリスです。
英国庭園の謎
こちらは表題作、暗号ものです。暗号文は、読んでいるだけだと全然わかりませんでした。殺されてしまった暗号の作者が言うように、紙とペンが必要です。
ざっとあらすじをお話してきましたが、やっぱり表題作が魅力でしょうか。犯人の見当もつかなかったし。
私は「完璧な遺書」もすごく好きで。なぜ火村先生が、遺書が偽物だと見破ったのか?
こんな理由かあ、と思うと同時に、ここに目をつけるってのはさすがだなと思いました。
火村先生とアリスのシリーズは、今風の科学捜査なんて出てきませんよ。
本格ミステリだから、「理論」で攻めていくわけ。
「完璧な遺書」も「英国庭園の謎」も、この人が犯人だ!という物的証拠が上がったのではないけれど、的確な推理で犯人を追い詰めていくのです。
その推理の過程が面白作品なのです、このシリーズは。
しかも、短編集って、1冊で何度でも美味しい思いができるから大好きです。